現場担当者が語る、東京テープの縫製加工の舞台裏

2023.08.25

前回は、東京テープの縫製加工の現場についてご紹介いたしました。今回は、そんな現場で仕事をしているNさん、Mさんにお話をしてもらいます。

Nさんは縫製機を導入した当時から縫製作業に携わってくれている社員です。導入時のエピソード、作業に対する想いをお聞きしました。

機械化したら楽になる、わけじゃない。導入当時のエピソード

――縫製機を導入した経緯、当時のエピソードについてお聞かせください。

Nさん:会社が導入を決めた当時の平ゴム輪加工はすべて手作業でした。ボンドを使って輪加工していたため、内職さんの手荒れやボンドのにおいが課題でした。また、手作業ではどうしても数に限りがあることもあり、縫製機を入れることにしたんです。その結果、年間何十万本だった生産数が、昨年2022年では400万本と、縫製機を入れてから生産数が飛躍的に伸びましたね。

ただ、ここまでくるのは簡単ではありませんでした。「機械化すれば楽に効率化できる」と思われるかもしれませんが、決してそうではなかったんですよ。

まず、縫製機の導入を決めるにあたり、メンテナンスへの懸念がありました。機械メーカーが北陸の会社のため、不具合が起きるたびにメーカーの方を呼ぶとなると出張費がかかりますから。そのため、メーカーに出向き、実際に機械を触わらせてもらったのです。基本的な説明を受け、「これなら何とか使いこなせるようになりそうだ」と判断できたため、まずは1台目を導入しました。その後、故障時のことを考えて半年後に2台目を、2年後に3台目と台数を増やしてきました。今は計6台が稼働しています。

――北陸のメーカー以外に類似機械はなかったのでしょうか。

Nさん:他社製品はほぼないと思います。また、そもそもラッピング用品専門の縫製機械ではないんです。アパレル業界のインナー製品向けに使われている縫製機が使えそうだと考え、導入した機械だからです。

――今の生産数に至るまで「簡単ではなかった」とのことですが、当時のエピソードを教えてください。

Nさん:導入当時は社長の叔父さんと組んで仕事をしていまして、2人で機械の微妙な調整に苦心していました。縫い合わせがズレたり、ゴムがひっくり返ってしまっていたり、汚れてしまっていたりと、いい製品を安定的に作れるようになるまでが本当に大変でしたね。

どこをどう調整したらよいのかもわからないなか、2人で「ああでもない、こうでもない」と工夫していました。叔父さんが職人気質の人で、仕事への向き合い方を横で見られたことは、私にとっていい経験になりました。

弊社では何十種類ものゴムを扱っていますが、その一つひとつにあった設定を見つけなければならないのも大変でしたね。

Mさん:特にレースゴムは難しいですよね。穴が開いている素材だから、位置によっては針が刺さらない。今も試行錯誤を続けながら縫製しています。あと、天候への配慮。

Nさん:そうですね。温度や湿度で機械の調子も変わりますし、糸が切れやすくなったり静電気でゴムが機械にまとわりついてしまったりといった変化もありますから。1度ベストな設定を見つけたら、そのままずっといけるわけではないんですよね。

――導入当時の大変さを乗り越えられたのはなぜだと思いますか?

Nさん:もう根気ですよね。とにかく終わらせるしかない、間に合わせるしかないという、「やるしかない」状態で(笑)。メーカーに電話をして質問し、微調整をして縫ってみての繰り返しでした。

ようやく使いこなせるようになってきたかなと思えるのは、導入から2、3年後くらいでしょうか。150万本を縫ってようやく「こうかな?」と調整できるようになったと思います。部品の交換も自分たちでやっていますね。今も覚え途中です。

――Mさんはどのようにして使い方を覚えていったのでしょうか。

Mさん:Nさんの姿を見て学んだ部分が大半です。不調が起きたとき、Nさんは9割がた自分で直せるんですよ。本当に頼りになる上司です。

Nさん:何かご馳走しようかな(笑)。

目指す基準は縫製に関するクレームゼロ。目と手で品質をしっかり管理しています

――縫製作業に対するこだわり、想いをお聞きしたいです。

Mさん:この縫製機は本来インナーのゴムを縫うために使われているものです。インナー・下着はあまり人様に見せるものではないと思うのですが、弊社では包装用のゴムを縫うために使っています。ラッピングは見た目が大切なので、誰が見ても綺麗な仕上がりになるよう、原反(カット前のゴム・リボン)の状態から縫い上がりまで目を行き届かせるようにしています。

Nさん:そのためにも、縫製機を入れた1年後に原反にヒートセットをかけられるプレス機を入れたんですよね。まっすぐな状態にして縫えるので。縫製前のチェック、縫製後のチェック、製品になったあとの検品。すべてにおいて入念に状態を見ています。

Mさん:予備分を入れて納品分全体でカバーする考え方もありますが、「予備があるから不良品が多少入っていてもいいだろう」という考え方をしたくないというのが弊社の方針です。機械を導入すれば人の手や目が離れると思いきや、しっかり人が携わり続けているのが東京テープのものづくりかなと思います。

あと、今回を機にお伝えしておきたいなと思うのは、縫製機=家庭用ミシンではないこと。「タグを通した状態で縫製加工ができますか?」とお問い合わせを受けることがあるのですが、弊社の縫製機はアパレル専用機器なので、一つひとつにタグを通して縫うことは仕様上できないんですよ。せっかくの機会なので付け加えさせてください。

――ありがとうございました。これからも質の良い製品作りを期待しています!

Nさん:ありがとうございました。今後もがんばります!

Mさん:経験を積み、もっとうまく縫製機と付き合えるようになりたいです。ありがとうございました!

 

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