【東京テープ座談会】昭和~平成・ラッピング業界のニーズの変化を振り返る

2022.02.25

1955年から、日本の「包む」を支えてきた東京テープ。時代の移り変わりに伴い、文化やニーズにも変化があります。贈りものに必須な包装・ラッピングには、どういった変化があったのでしょうか。今回は、昭和・平成のラッピング業界を知る社長、専務に話を聞きました。

「和菓子だから和風の包装」からの意識の変化

―今回は、昭和時代からどのようにラッピングの流行やニーズが変わってきたのかについてうかがっていきたいと思います。今、ラッピングといえば当たり前のように使われているリボンですが、いつごろから使われるようになったのでしょうか。

丸山 聡也

社長:幅広く使われるようになったのは、1980年代の前半頃でしたかね。それまでは和菓子にはしで紐、洋菓子にはリボンといったように、和風・洋風のくくりに沿った包装が主流でした。1980年代ごろから和菓子の包装にもリボンを使うところが出てきた覚えがあります。

専務:他店との違いを出したかったり、おしゃれさを演出したかったりといったニーズが出てきたのでしょうね。でも、当時のリボンには多様性がなかった。色も赤・ピンク・緑・黄色・水色と基本の5色だけでした。

バレンタインブームを始めとしたプレゼント文化の定着

社長:昭和時代、ラッピング業界に大きな影響を与えたのはバレンタインブームの到来でしたね。これも80年代のことです。

―チョコレートを贈るわけですから、もちろんラッピングの需要は増えますね。

社長:ええ。当時、人気を集めたのは「スターボー」と呼ばれるラッピング用品です。花のような形に加工されているもので、包装紙に包まれた箱に貼るだけで簡単に華やかさを添えられるんですよ。チョコレートメーカーに10トントラックで納品していたこともあります。スターボーブームは10年くらい続きましたかね。

リボンシール

―見たことがあります。これはバレンタインブームがきっかけで出てきたものだったんですね。

社長:ええ。当時、ワンタッチでラッピングできる商品はスターボーしかなく、多くのラッピングを行わなければならないバレンタインニーズにマッチしたんですよ。また、この時期はバブル期という時代柄もあり、派手で華やかな包装が好まれがちでした。今と比べると、太めのリボンが人気でしたね。リボンの真ん中に造花をあしらったものが流行したときには、造花を仕入れるために奔走した業者が多かったです。

―太いリボンに造花、見るからに派手な包装ですね。

専務:バレンタインの他、クリスマスや母の日父の日など、誰かにプレゼントを贈る文化が活性化していったのもこの時期です。のしを付けた贈り物ではなく、ラッピングのニーズが高まっていきました。

社長:季節ごとにイベントを作ろうと、業者が働きかけていったんでしょうね。こうした中でラッピング用品のニーズも増していきましたが、ものによっては保管場所に困るという問題が出てきました。特にスターボーは立体的で、無理に重ねるとつぶれてしまいますから、どうしても箱が巨大化してしまうんです。

専務:そこで提案を始めたのが、リボンとテープを組み合わせて加工したギフトシールでしたね。

スターボー

―確かにこれなら省スペースですね。その他、この時代ならではの流行やブームは何かありましたか?

社長:ソープバスケット(ソープ手芸)がありましたね。固形石鹸に虫ピンを打ち、リボンを通して芳香剤として飾るものです。かなり流行り、虫ピンやリボンが市場からなくなるほどでした。

当時の東京テープは業績が落ち込み気味だったんですが、このブームでリボンの需要が急上昇し、起死回生できたんです。「色は何でもいいからリボンがほしい」といった状況でしたからね。異業種も入ってきて、市場全体でリボン不足に陥りました。2年くらい続きましたかね。市場にリボンの種類が増えたのは、ソープ手芸の流行も一因ではないかと思います。

ラッピング用ゴム商品の変遷

―東京テープの特徴の一つは、ゴムのラッピング用品です。ラッピング向けゴム商品の変遷についてもお聞かせいただけますか。

専務:ゴムも昔は少なかったですよね。6色くらいだったかな。

社長:うん。そもそも、丸ゴムは髪飾りに使うヘアゴムとして使われるのが主で、ラッピング用品としてはあまり使われていなかった。平ゴムは「パンツのゴム」のイメージが強く、ラッピング用品として提案しても、なかなか理解してもらえなかったですね。ゴムをラッピング業界に持ってきたのは、東京テープが比較的走りだったかなと思います。

―そもそも、なぜゴムをラッピング商品にしようと思われたのでしょうか。

社長:1995年頃、取引先から「今後、人手不足が問題になる時代において、ゴム製品は有効ですよ」と話を聞いたのが大きかったですね。理解されにくい中でも、良いゴム商品を開発していこうという意欲につながりました。

専務:どうしても先入観があるので、見る人によってはパンツのゴムにしか見えないんですが、箱にかけると綺麗なんですよ。そこを理解してくださる取引先が出てきてくれたのもありがたかったですね。期待やニーズにお応えしようと、ラッピングに使える商品開発や提案に力を入れていきました。

丸山達生

―ラッピング用の商品開発を進めてきたことで、ゴム製品に何かはありましたか。

社長:素材の変化ですね。当時はレーヨン製のゴムが多かったのですが、レーヨンは色落ち、色移りしやすいため、包装紙にゴムの色がついてしまうおそれがあったんです。そこで、色落ちしにくいナイロン製のゴムを使った商品を作りました。

専務:ゆくゆく人手不足の問題が大きくなることも考え、手間なく、誰でも綺麗なラッピングができることを目指し、さまざまな新商品を作ってきましたね。

―その成果が、今の東京テープが誇る膨大な商品ラインナップなんですね。時代の変化に合わせてプレゼント・ラッピングへのニーズも変わり、その変化に対応し続けてきたことが今につながっていることがわかりました。次回は、後編として令和時代を迎えた「今」のラッピング事情と今後についてお聞きしたいと思います

豊富な商品数と、安心の対応力。多彩な紐・リボン・ゴムで、商品に彩りを。東京テープにお任せください。/お問い合わせフォーム

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